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    静か過ぎる職場、逆に不快?

    2015.02.03 Tuesday

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      静か過ぎる職場、逆に不快? 
      • 鳥のさえずりや音楽が流れる頭上のスピーカー(上)。目立たないように設置されている(東京都中央区の内田洋行新川第2オフィスで)=横山就平撮影
      •   オフィスに、気にならない程度の音を流す試みが広がりつつある。

          IT化が進み、静かになった職場で、「打ち合わせや雑談がしにくい」との声があるためだ。ほどよい音を流すことで、社内交流を促す狙いもある。

        BGM流し効率アップ

         

          東京都中央区の商社「内田洋行」の新川第2オフィス。100人以上が働く営業部門では、かすかにジャズのような音楽が聞こえる。時折、川のせせらぎも。午前8時から12時間、スピーカー計24基から流れており、執行役員の平山信彦さん(57)は「仕事を邪魔しないように配慮した、心地いい音です」と説明する。

          同オフィスは2012年から、「ビクターエンタテインメント」(東京)の音響システムを採用した。足元や天井近くにスピーカーを配置し、器楽曲に森、川などの自然環境音を混ぜて放送する仕組み。周囲の話し声やキーボードをたたく音など気になる物音を紛らわせ、集中力を高めたり、リラックスさせたりする効果があるという。

          「以前は電話やプリンターの作動音で騒々しかったが、OA機器が進歩し、電子メールが広まると静かになった」と平山さん。すると、「打ち合わせの声で気が散る」「周りの迷惑ではと気兼ねして雑談しづらい」との声も出てきたため、導入したという。

          金融営業部課長の相原正孝さん(43)は「職場のコミュニケーションを高め、アイデアを生む上で雑談は重要。静か過ぎない環境になって話がしやすくなった」と話す。ビクターエンタテインメントによると、同システムは大学や図書館などを含めて約50か所に導入されているという。

          職場の静寂は多くのオフィスに共通する悩みだ。有線放送大手「USEN」(同)が昨年、20〜50代の働く男女400人に行った調査では、53%が「静か過ぎる職場は居心地が悪い」と回答した。

          同社も昨年、オフィス用BGMを開発。通常の有線放送番組のほか、精神科医が監修した「メンタルケア」というタイトルの音楽番組も提供するサービスを始めた。

          導入した社会保険労務士法人「伊藤人事労務研究所」(同)の高田彩子さんは「パソコン作業が多く、静か過ぎて、会話を控えるという悪循環に陥っていたが、BGMがあると雰囲気が和んで気軽に声をかけあえ、仕事の処理も速くなった」と話す。

          「イトーキ」(大阪)と「ヤマハ」(静岡)も昨年から、環境音やピアノの音を出す音響機器の導入を企業に提案している。

          こうした動きの背景には、職場内の交流の重要性が見直されてきたことがある。

          テレマーケティング大手の「もしもしホットライン」(東京)と日立製作所中央研究所(同)が11〜12年、電話営業担当者130人の行動を調査したところ、職場全体の業績には、上司の指導力や個人の技術だけでなく、休憩中の会話の活発さも強く影響することが実証された。同研究所の担当者は「業務外も楽しく過ごせる人間関係づくりが、業績改善につながる」と話す。

          オフィス環境に詳しい、労働科学研究所(神奈川)協力研究員の野瀬かおりさんは「従来の職場づくりは労災防止や安全衛生の考えが強く、音環境も騒音対策が中心だった。今後は音を付け足すなど、より多くの人にとって快適な環境を整えることで、生産性を高める動きが広がるだろう」と話している。

        適度な会話 関係良好に

         

        •   昔に比べて職場が静かになり、周囲を気にして会話を控えがちだ。でも、同僚と親しくなるのは、やはり会話からだ。職場で適度な雑談を行うコツやマナーを、記者(37)が教えてもらった。

            「TALK&トーク話し方教室」(大阪)を1989年に設立した野口敏さん(55)のもとには、3年ほど前から、社内コミュニケーション研修の講師依頼が増えているという。「ハラスメント対策など、同僚への配慮が強く求められる時代。互いの距離を近づけ、親しみを生む雑談は大切です。気楽に話すことで、新たな発想が浮かぶ可能性もある」と話す。

          自分の気持ち交えながら

           

            大阪出身の記者は関東の大学に入学した当初、初対面の同級生に「大阪の人なら面白いことが言えるでしょう」と何度か迫られて以来、雑談に苦手意識がある。伏し目がちでいると、「アイコンタクトは重要です」と言われた。

            目を合わせることで、「あなたを拒絶しない」という意思を伝えられるという。例えば、席が自由に選べる職場で、なじみが薄い同僚の近くに座る際、黙って座ると「他人に無関心な人だ」ととられ、互いに会話の糸口をつかみづらくなる。

            席を決めたら小声でも「お邪魔します」とあいさつする。顔を上げない人については「仕事に集中したいのだな」と考え、話しかけない方が無難。だが、顔を上げてあいさつを返してくれた人とは会話をする前提が整ったと取ってよいという。

            話題探しにもポイントがある。無理に共通の話題を見つけようとせず、日常の暮らしやちょっとした時間の過ごし方などの話題でよい。「寒くなりましたね。私はこたつを出したんですが、暖房はどうしていますか」「通勤電車では座れますか」などだ。

            野口さんは「伝えるべきは自分の気持ちや物事の見方、感じ方。互いの共通点や違いがわかれば会話が楽しくなる」と話す。具体的なエピソードを交えて話すと、相手がイメージしやすい。

            ただし、自慢話は嫌がられる。「自覚しづらいので、自分の話は一つで終わらせましょう。『そちらはいかが?』と相手に投げかけるのも手です」

            プライバシーを探るような質問も避けたい。「オフィスはあくまでも仕事の場。雑談は2、3回往復する程度のやりとりで十分です」。商談中や電話中の同僚が近くにいる場では、控える配慮も必要だ。(辻阪光平)