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2016.12.19 Monday

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    甲州ワイン 感動を世界に

    2015.02.03 Tuesday

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      甲州ワイン 感動を世界に 青々と茂る葉の下に、淡いピンクに色づいたブドウがたわわに実る。日本固有のブドウ品種「甲州」だ。頭上から房がぶら下がるように育てる「棚栽培」が一般的だが、山梨県北杜市にある中央葡萄(ぶどう)酒(本社・同県甲州市)の農園では、生け垣のような形状で栽培している。

        収穫量は落ちるが、味が凝縮されたブドウができるとの考えからだ。同社醸造責任者の三澤彩奈さん(34)は、毎日のように農園を訪れ生育状況をチェックする。「ブドウはとても繊細。同じ畑の区画によっても味や香りが違うんです」

        醸造所があるのは農園すぐそば。最良の時期を見極めてブドウを収穫し、新鮮なうちにワインを仕込めるメリットがある。収穫と仕込みが重なる9月から11月は、食事や寝る時間を十分にとれないほど忙しい。

        機械に頼らず手摘みで収穫し、出来具合に応じて一粒一粒選別して原料にしている。「日本ワインの良さは繊細さ。手間がかかっても、とことん追求していきたい」と話す。

        1923年から続くワイナリーに長女として生まれた。大学卒業後、フランスや南アフリカでワイン醸造を学び、2007年に山梨に戻ってきた。

        翌年から、春は南半球のワイナリーで働く生活に身を投じた。季節が逆の地域を行き来すれば、年に2回収穫と醸造を経験できる。6年間、チリやアルゼンチンなど7か所のワイナリーで働いた。「思い描く理想のワインに近づきたいという一心でした」

        こうした探求と努力の結果、手がけたワインは「ブレがなくてエレガント」「芯がしっかりしている」と評される。6月には、世界最大規模のワインコンクール「デキャンター・ワールド・ワイン・アワーズ2014」で、「キュヴェ三澤 明野甲州2013」が日本ワインとして初の金賞を獲得した。

        「アジアを代表するワインとして『甲州』を世界に発信していきたい。誰かを勇気づけたり、感動させたりする、心に響くワインが目標です」(佐川悦子)

       【空き時間】国内外を食べ歩き活力や刺激受ける

      •   ワイナリーで育っただけに、「食」への関心は高い。仕事の合間に、勉強を兼ねて国内外のレストランを食べ歩く。

          ワイン業界で話題になっていると聞けば、東京はもとより、北欧のレストランやシンガポールのすし店=写真=に足を延ばしたことも。「一皿の料理からエネルギーを感じたり感動したりして、刺激を受けています」

          最近、出張先の大阪で訪れたフレンチレストランでは、料理一皿ごとに違ったワインが提供された。肉料理と一緒に味わったワインは、料理の特徴をさりげなく引き立てているように感じられた。「こんな謙虚なワインもあるんだ」と思った。

          味覚に影響が出ないよう、チョコレートやコーヒー、辛い物はほとんど口にしない。父・茂計(しげかず)さんの教育方針で「ファストフードは禁止でした」と笑う。

          一番好きなのは和食。家族や友人と甲州ワインを傾け、すしや刺し身を食べるのが、至福のひとときだ。

         【道具】醸造学の頼れる「先生」

        •   フランス留学の時に使っていたワイン醸造学の教科書=写真=は、仕事につまずいたり迷ったりしたときに助けてくれる心強い存在だ。

            著者はフランスの醸造学の権威。辞典のように分厚く、ページをめくると化学式や図表のほか、専門的な知識がフランス語で解説されている。残念ながら日本語訳は出版されていない。

            普段は醸造所に隣接する事務所に置いてあり、わからないことがあるとすぐに調べる。家に持ち帰ってじっくり読み込むこともしばしばだ。

            先日もスパークリングワインを仕込む時に、瓶内2次発酵のやり方を確認したばかり。「このやり方であってたよね、と安心するんです」

            びっしり貼り付けた付箋や書き込みは、若き醸造家が積み重ねてきた努力の証しでもある。「いつでも頼れる大切な先生です」

          みさわ・あやな 1980年、山梨県生まれ。大学卒業後、2005年に渡仏し、ボルドー大学でワイン醸造を学ぶ。07年にフランス栽培醸造上級技術者の資格を取得。同年に帰国し、実家の「中央葡萄酒」でワイン醸造に携わる。08年より醸造責任者。